これは蒼井遥真の一生に関わることだった。
「でも紫苑だって騙されたんだ」蒼井遥真は篠崎澪を見つめて言った。「母さん、紫苑のことを一番可愛がってたじゃないですか?」
篠崎澪は眉をきつく寄せた。
確かに彼女は蒼井紫苑のことが大好きだった。
しかし今この瞬間。
蒼井紫苑を育てなかった方がよかったとさえ思った。
どう考えても、この一件は蒼井紫苑が原因だった。彼女が火に油を注がなければ、蒼井遥真は若松冬音と結婚しようなどとは思わなかったはずだ。
篠崎澪は想像するのも恐ろしかった。もし蒼井遥真がこの事実に気づくのが遅かったら、どんな結果になっていたことか。
今回は確かに蒼井紫苑が行き過ぎていた!
「紫苑はやはり修行が足りないわね」篠崎澪は蒼井修誠の方を向いて言った。「こうしましょう。しばらく外で暮らさせて、自分のことをよく反省させましょう。どうかしら?」