これは蒼井遥真の一生に関わることだった。
「でも紫苑だって騙されたんだ」蒼井遥真は篠崎澪を見つめて言った。「母さん、紫苑のことを一番可愛がってたじゃないですか?」
篠崎澪は眉をきつく寄せた。
確かに彼女は蒼井紫苑のことが大好きだった。
しかし今この瞬間。
蒼井紫苑を育てなかった方がよかったとさえ思った。
どう考えても、この一件は蒼井紫苑が原因だった。彼女が火に油を注がなければ、蒼井遥真は若松冬音と結婚しようなどとは思わなかったはずだ。
篠崎澪は想像するのも恐ろしかった。もし蒼井遥真がこの事実に気づくのが遅かったら、どんな結果になっていたことか。
今回は確かに蒼井紫苑が行き過ぎていた!
「紫苑はやはり修行が足りないわね」篠崎澪は蒼井修誠の方を向いて言った。「こうしましょう。しばらく外で暮らさせて、自分のことをよく反省させましょう。どうかしら?」
その言葉を聞いた蒼井紫苑は心が凍りついた。篠崎澪を見上げると、目には信じられないという表情が浮かんでいた。
篠崎澪は彼女を蒼井家から追い出そうとしているのか?
蒼井修誠は頷いた。「あなたの言う通りにしよう。ついでに半年間の小遣いも取り消しだ。この期間にしっかり反省するんだ!」
蒼井陽翔も呆然とした。
「お父さん、お母さん、それは偏り過ぎです!紫苑が何を間違えたというんですか、こんな仕打ちをするなんて!」
もし外部の人間が、蒼井紫苑が家族に追い出されて暮らしているということを知ったら、蒼井紫苑は今後どうやってお嬢様たちの社交界で顔向けできるというのか?
最も重要なのは、蒼井紫苑の身の上が元々微妙な立場だということだ。
蒼井華和が戻ってきて以来、多くの人が蒼井紫苑が追い出される様子を待ち構えていた。
彼女の失態を見たがっていた。
蒼井陽翔は両親がそんなことは絶対にしないと思っていた。
しかし思いもよらず......
「大人なら自分の行動に責任を持つべきよ!もう十八歳なのよ!八歳じゃないんだから!」
今回蒼井紫苑を簡単に許してしまえば、今後彼女がどんなことをしでかすか分からない。