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夜。
蒼井華和は広場で犬の散歩をしていた。
この頃、彼女は榊原詩々と暗黙の了解ができていた。
毎回彼女が来る時には、榊原詩々はすでに待っていた。
今のように。
榊原詩々は笑顔でこちらに小走りで近づいてきた。
「お姉さん、モチ子!」
モチ子も榊原詩々のことを覚えていて、一目散に駆け寄った。
蒼井華和は引っ張られて前に走り、叫んだ。「モチ子、ゆっくり!」
モチ子は足を緩めたものの、まだかなり速く、榊原詩々の前に直接飛び込み、両前足を彼女の肩に乗せて、頭を振り尾を振った。
最初、榊原詩々はモチ子の熱烈な歓迎に耐えられず、よく倒されていた。
しかし今では、榊原詩々はモチ子の重さに完全に慣れ、モチ子の頭を撫でながら、「モチ子!」と呼びかけた。
モチ子は鼻を鳴らしながら、榊原詩々に応えているようだった。