205:真相が明かされる、高城ママは蒼井紫苑の実の母親!_3

......

夜。

蒼井華和は広場で犬の散歩をしていた。

この頃、彼女は榊原詩々と暗黙の了解ができていた。

毎回彼女が来る時には、榊原詩々はすでに待っていた。

今のように。

榊原詩々は笑顔でこちらに小走りで近づいてきた。

「お姉さん、モチ子!」

モチ子も榊原詩々のことを覚えていて、一目散に駆け寄った。

蒼井華和は引っ張られて前に走り、叫んだ。「モチ子、ゆっくり!」

モチ子は足を緩めたものの、まだかなり速く、榊原詩々の前に直接飛び込み、両前足を彼女の肩に乗せて、頭を振り尾を振った。

最初、榊原詩々はモチ子の熱烈な歓迎に耐えられず、よく倒されていた。

しかし今では、榊原詩々はモチ子の重さに完全に慣れ、モチ子の頭を撫でながら、「モチ子!」と呼びかけた。

モチ子は鼻を鳴らしながら、榊原詩々に応えているようだった。

榊原詩々はクマのぬいぐるみを取り出し、「モチ子、これはあなたへのプレゼントよ」と言った。

クマはとても可愛かった。

モチ子も気に入って、榊原詩々が差し出したぬいぐるみを直ぐに咥えた。

蒼井華和は笑いながら尋ねた。「このクマ、詩々が作ったの?」

榊原詩々は頷いて、「はい」と答えた。

「詩々って凄いわね」

榊原詩々は少し照れて俯いた。

夜の広場には散歩する人が多かった。

二人は犬を連れて、広場を歩いたり止まったりしていた。

その時。

一人の人影が蒼井華和の傍を通り過ぎる時、突然倒れた。

ドン!

蒼井華和は眉を少し寄せ、すぐにリードを榊原詩々に渡した。「詩々、モチ子を頼むわ」

「はい」

蒼井華和はすぐに片膝をつき、地面に倒れている人の状態を確認し始めた。

四十代後半くらいの中年女性だった。

顔色が真っ青だった。

突然人が倒れたため、周りはすぐに人だかりができた。

様々な声が飛び交った。

「どうしたんだろう?」

「分からないわ!さっきまでジョギングしてたのに!」

救急車を呼ぼうという声もあった。

しかし蒼井華和だけが分かっていた。救急車を待っていては間に合わないことを。

これは激しい運動後の突発性心停止の症状で、蒼井華和はまず脈を取り、それから瞼の状態を確認した。

状態は非常に悪かった。

直ちに救急処置を施す必要があった。

そうしなければ、いつ死んでもおかしくない状態だった。