205:真相が明かされる、高城ママは蒼井紫苑の実の母親!_2

蒼井紫苑はエレベーターの前まで歩き、ボタンを押した。

すぐにエレベーターが到着した。

蒼井紫苑はエレベーターに乗り、一階に降りた。キャリーケースをリビングに置き、蒼井陽翔の方を振り向いて、「お兄さん、パパとママに話してくるわ」と言った。

蒼井陽翔は溜息をつき、目には心配の色が浮かんでいた。「一緒に行くよ」

両親が紫苑を責めるのではないかと心配だった。

「大丈夫よ、お兄さん。私一人で行くわ」

紫苑は付いてくることを拒んだので、陽翔は足を止めるしかなかった。

紫苑は蒼井修誠と篠崎澪の寝室に向かった。

ノックをした。

コンコン。

すぐに。

中から篠崎澪の声が聞こえた。「どうぞ」

紫苑はドアを開けて入った。

修誠と澪は部屋の中にいた。

その時。

修誠は机に座って新聞を読んでいた。

澪はコーヒーを飲んでいた。

「パパ、ママ」

紫苑は口を開いた。「ごめんなさい、私が間違っていました!若松冬音の言葉を軽々しく信じるべきではありませんでした。しばらく外に住んで、しっかり反省します」

それを聞いて、澪は顔を上げた。「過ちを知って改めるのは、善に勝るものはない。紫苑、今回は本当に反省しているのかしら。表面的なものではなく」

「ママ、安心して。本当に反省しています」

澪は頷き、続けて言った。「じゃあ、まずは一ヶ月外で暮らしなさい。運転手を付けるから、この間は車の運転は控えなさい」

一ヶ月?

車の運転もダメ?

澪は車さえ使わせないつもりなのか?

それを聞いて、紫苑は一瞬固まった後、頷いた。「はい、ママ」

もし間違いを犯したのが蒼井華和だったら、澪は実の娘に一ヶ月も外で暮らせと言うだろうか、と彼女は考えた。

笑える。

本当に笑える。

言い終わると、紫苑は続けて言った。「じゃあパパ、ママ、私行きます。お体に気を付けてください」

「行きなさい」澪は言った。

紫苑は部屋を出た。

澪が引き止めの言葉を掛けてくれると思っていた。

引き止めないまでも、体を気遣う言葉くらいかけてくれると。

でも何もなかった。

澪は一言も言わなかった。

紫苑は自分の心が少しずつ冷たくなっていくのを感じた。一点一点、完全に凍りつくまで。

リビングに戻って。

紫苑はキャリーケースを持ち上げ、陽翔を見上げた。「お兄さん、私行くわ」