212:家族の恥を払拭し、絶縁する

その言葉が出た瞬間。

部屋中が静まり返った。

空気が恐ろしいほど静かになった。

蒼井紫苑さえも呆然としていた。

顔が真っ青になり、体中の力が一瞬で抜け、血の気が引いた。

どうしてこんなことに!

蒼井琥翔はどうやってこのことを知ったの?

今どうすれば?

蒼井陽翔は怒って言った。「兄さん!何を言い出すんだ!蒼井華和が戻ってきてから、兄さんは紫苑のことが気に入らなくて、あらゆる面で紫苑を目の敵にしているのは分かるけど、たとえ紫苑のことが嫌いでも、こんな言い方はないだろう!」

蒼井陽翔は夢にも思わなかった。蒼井琥翔が蒼井華和のためにここまでするとは。

彼は蒼井紫苑を中傷することさえ厭わなかった!

「どう考えても、紫苑は兄さんが見守って育てた妹だ。十八年間も兄さんと呼んできたんだぞ!兄さんが何をしても、紫苑は一度も恨んだことがない!」

蒼井琥翔は蒼井陽翔の言葉を無視した。

横にいる母親の方を向いた。

篠崎澪はよろめきそうになり、幸い隣にいた蒼井修誠に支えられ、そして蒼井琥翔を見上げて「琥、琥翔、あ、あなた冗談を言っているんじゃないでしょうね?」

誰が信じられただろう。これほど長い間、二匹の狼を身近に置いていたなんて!

その瞬間。

篠崎澪はこれほどの事実を消化しきれなかった。

蒼井修誠は篠崎澪を支えながら「琥翔!一体どういうことなんだ、説明してくれ!」

蒼井琥翔は両親を見つめ、一字一句はっきりと言った。「蒼井紫苑の本当の名前は榊原芳乃、高城桂子と夫の榊原満山の子供です。」

「でも」篠崎澪は顔面蒼白で、声も震えながら「でも高城ママの子供は...もう死んでいたはずでは?」

蒼井家の全員が知っていた。高城ママはとても不幸な人だった。

DVする夫がいただけでなく、唯一の実の娘も亡くなってしまった。

そのため、篠崎澪は彼女をとても同情し、高城ママには他の人より高い給料を払っていた。