【北川広場のほうで。】
蒼井紫苑は返信した:【姉は間違いを犯してそれを認めないような人ではありません。きっと何か誤解があるはずです。】
そう返信すると、蒼井紫苑はすぐにWeChatを開き、あるハッカーと連絡を取った。
チャットが終わった後。
彼女はチャット履歴を完全に消去した。
今度こそ、蒼井華和がどうやって疑いを晴らすのか見てやろう。
因果応報とはまさにこのことだ!
春野宴真は榊原詩々からモチ子のリードを受け取り、続けて尋ねた:「お嬢ちゃん、お姉さんの電話番号を知ってる?」
「はい」榊原詩々は頷いた。
彼女のスマートウォッチには蒼井華和の電話番号が保存されていた。
「教えてくれない?」
その言葉を聞いて、榊原詩々は警戒するように春野宴真を見た。
春野宴真は説明した:「お姉さんさっき急いで行っちゃって、電話番号を残し忘れたんだ。僕が一旦モチ子を家に連れて帰って、後でお姉さんに迎えに来てもらうからさ。」
榊原詩々はそれを聞いて、ようやく蒼井華和の番号を春野宴真に教えることに同意した。
春野宴真は蒼井華和の携帯番号を慎重に保存し、それから顔を上げて榊原詩々を見た。「家はどこ?送っていこうか。」
「大丈夫です、一人で帰れます。」
「一人で大丈夫?」春野宴真は尋ねた。
榊原詩々は笑って言った:「問題ありません。いつも一人ですから。」
「そうか。」
榊原詩々が去った後、春野宴真は自分の傍らに伏せている大きな犬を見て、「じゃあ、僕たちも行こうか。」
モチ子は顔を上げて春野宴真を見たが、びくともしなかった。
春野宴真はしゃがんで、モチ子の頭を撫でた。「大丈夫、僕は悪い人じゃないよ。」
モチ子はまだ動かなかった。
春野宴真は再びリードを強く引っ張ってみた。
明らかに、彼はモチ子の力を甘く見ていた。
仕方なく、春野宴真は電話をかけて、犬の好きな骨付き肉を持ってきてもらった。
しかし骨付き肉の誘惑にも、モチ子は全く動じなかった。
ただそこに伏せたまま、蒼井華和が消えた方向を見つめ、その目は悲しげだった。
蒼井華和が戻ってこない限り、動かないという構えだった。
なぜ蒼井華和が突然いなくなったのか、わからなかった。
でも、きっと蒼井華和は迎えに来てくれるはずだと、モチ子は知っていた。
春野宴真は途方に暮れた。