「はい」助手は頷いて、「すぐに行きます!」
「警察官、彼女に騙されないでください!もし彼女に関係がないなら、なぜ真っ先に母を助けたんですか?」
「警察官.......」
その時、女性警察官が二人の会話を遮って、「お二人とも落ち着いてください。お二人の気持ちはわかります。私たち警察を信じてください。公平に処理いたします!」
二人はようやく不承不承と黙り込んだ。
その時、警察官は電話を受け、眉をひそめて言った。「なに?防犯カメラが壊れた?」
これを聞いて、榊原静華と周防誠一は目を合わせ、その目には打算的な色が浮かんでいた。
これで。
蒼井華和は黄河で洗っても潔白を証明できないだろう。
特に榊原静華は、賠償金の使い道まで考えていた。
彼女は義母の原田真雪のことをよく知っていた。
原田真雪は普段からとても吝嗇で、人の少しの得にも半日喜んでいられる人だ。こんな恐喝のチャンスを逃すはずがない。
絶対にありえない!
もちろん、原田真雪が死んでしまえばもっといい。
死人に口なし。
防犯カメラもない。
そうなれば、蒼井華和にいくらでも賠償金を払わせることができるじゃないか?
救急室内では、救命処置がまだ続いていた。
しばらくして、手術灯が消えた。
榊原静華と周防誠一はすぐに駆け寄って尋ねた。「先生、母はどうですか?」
きっともう長くないでしょう?
榊原静華は涙まで用意していた。「お母さん、絶対に何かあってはいけません!まだ52歳なのに、孫の面倒も見なきゃいけないのに!」
医師はマスクを外し、笑顔で言った。「ご安心ください。患者さんは大丈夫です。現在は危険な状態を脱しています。」
危険な状態を脱した!
どうしてこんなことに?
二人は呆然とした。
特に榊原静華は、さっきネットで調べたところ、心臓停止の患者は非常に危険で、ほとんど救命できないと書いてあったのに。
「後遺症は残りませんか?」榊原静華は続けて尋ねた。
医師は首を振って、「それもありません。これも初期の救命処置が適切だったおかげです!」
そう言って、蒼井華和を見つめ、非常に賞賛する口調で言った。「お嬢さん、本当に素晴らしかったです!」
榊原静華は目を細めた。義母は無事で危険も脱したが、蒼井華和が支払うべき賠償金は一銭も減らすわけにはいかない。