玲姉はうなずいた。
そのとき、伊藤警官が反対側から歩いてきて、「柚木兄、玲姉、お二人ともいらっしゃいましたね。これは旧市街で調査した資料です」と言った。
柚木浩流は資料を受け取った。
伊藤警官は続けて言った。「私たちの調査によると、旧市街の住民たちは榊原満山という人物に対してとても悪い印象を持っています。彼は高城桂子に対してよく家庭内暴力を振るい、怒ると子供まで殴るそうです。私は、詩々がこの人でなしに殴られて死んだと思います!詩々はまだ14歳だったのに、未成年なのに...」
最後の言葉を述べる時、伊藤警官の声は少し詰まった。
14歳の子供、彼女はまだこの世界をゆっくり見る機会さえなかった。
間もなく、法医学者の検死報告書も出来上がった。
法医学者は報告書を持って事務所に来た。
「柚木隊長、玲姉。法医学的鑑定によると、被害者の生前の皮膚表面に多数の打撲傷と針穴があり、さらに被害者の皮膚から3本の刺繍針が発見されました。検査の結果、これらの刺繍針は被害者の体内に3年間留まっていたことが分かりました。これは、被害者が生前、日常的に虐待を受けていたことを示しています」
「何ですって?」今度は玲姉も座っていられなくなった。
彼女は長年事件を担当してきたが、これほど悪質な事件は初めてだった。
3年前の榊原詩々はまだ11歳だった。
11歳の子供。
まだ小学4年生。
彼女を虐待した人間は、一体どうしてそんな残酷なことができたのか。
法医学者は一束の写真を取り出して、「これらは全て被害者の体の傷です」と言った。
これらの傷跡。
新しいものも古いものもある。
見ているだけで息ができなくなる。
「玲姉、柚木隊長」そのとき、一人の警察官が外から走ってきて、「新しい発見がありました」
「どんな発見?」
玲姉はすぐに近寄った。
「玲姉、これは榊原詩々の家で見つかった子供用スマートウォッチです」
玲姉は袋を受け取り、透明な袋越しに眉をひそめた。「このブランドは知っています。輸入品で、1万円近くします」
「そんなに高価なものを?」柚木浩流は眉をひそめた。
明らかに。
このスマートウォッチの価格は、榊原家には手が出ないはずだった。
結局のところ、榊原詩々の服は、洗いすぎて色あせていたのだから。