208:徐々に浮かび上がる真相、華和が動く_5

しかし、榊原満山と比べると、高城ママには殺人の動機がなかった。

そのため、警察は彼女を一時的に釈放せざるを得なかった。

警察署を出て、高城ママは深いため息をついた。

すべては彼女の掌握の中にあった。

榊原詩々を誤って殺してしまったことを、彼女は後悔していなかった。

少なくとも。

蒼井紫苑の心配の種を一つ取り除いたのだから。

もし榊原満山が生きていたら。

必ず蒼井紫苑に問題をもたらすはずだった。

蒼井紫苑は今や何不自由ない御令嬢なのだ。

一方、榊原満山のようなクズは、目的を達成するためなら手段を選ばない。

彼女の人生は既に榊原満山によって台無しにされていた。

でも娘はそうはさせない。

心の中では爽快だったが、高城ママはそれでも悲しそうな表情を装った。

高城ママはパトカーで旧市街まで送られた。