208:徐々に浮かび上がる真相、華和が動く_5

しかし、榊原満山と比べると、高城ママには殺人の動機がなかった。

そのため、警察は彼女を一時的に釈放せざるを得なかった。

警察署を出て、高城ママは深いため息をついた。

すべては彼女の掌握の中にあった。

榊原詩々を誤って殺してしまったことを、彼女は後悔していなかった。

少なくとも。

蒼井紫苑の心配の種を一つ取り除いたのだから。

もし榊原満山が生きていたら。

必ず蒼井紫苑に問題をもたらすはずだった。

蒼井紫苑は今や何不自由ない御令嬢なのだ。

一方、榊原満山のようなクズは、目的を達成するためなら手段を選ばない。

彼女の人生は既に榊原満山によって台無しにされていた。

でも娘はそうはさせない。

心の中では爽快だったが、高城ママはそれでも悲しそうな表情を装った。

高城ママはパトカーで旧市街まで送られた。

高城ママが戻ってきたことを知り、住民たちは皆慰めに来た。

「詩々母さん、詩々はもういないけど、しっかり節制してください!」

高城ママは泣き崩れた。

両目は腫れ上がり、喉もかれていた。

地元のテレビ局がこの事件を知り、すぐに記者を派遣して取材に来た。

「視聴者の皆様こんにちは、NHK総合の記者、久世雨乃です。現在旧市街に到着しました。ここが詩々ちゃんが暮らしていた場所です。」

「この先が詩々ちゃんの家です。」

久世雨乃はすぐに住民の一人を捕まえて、インタビューを始めた。「おじさん、お聞きしたいのですが、旧市街の住民の方ですか?」

「はい、そうです。」おじさんは頷いた。

久世雨乃は続けて尋ねた。「では、詩々ちゃんをご存知でしたか?」

「知っていましたよ」おじさんは目を赤くして言った。「詩々は本当に可愛い女の子でした。住民みんなが彼女を好きでした。でも残念なことに、この子が...榊原満山は人間じゃない!きっと彼が詩々を殴り殺したんだ...」

別の住民が割り込んできた。「記者さん、言わせてください!詩々ちゃんのことをしっかり報道してください。榊原満山のクズに代償を払わせなければ!」

「死刑にすべきだ!」

「この男は最低だ。妻を殴るだけでなく、子供まで殴るなんて...」

次々と住民たちがカメラの前に押し寄せ、皆が詩々のために正義を訴えた。

記者は賃貸アパートにも訪れた。