しかし、榊原満山と比べると、高城ママには殺人の動機がなかった。
そのため、警察は彼女を一時的に釈放せざるを得なかった。
警察署を出て、高城ママは深いため息をついた。
すべては彼女の掌握の中にあった。
榊原詩々を誤って殺してしまったことを、彼女は後悔していなかった。
少なくとも。
蒼井紫苑の心配の種を一つ取り除いたのだから。
もし榊原満山が生きていたら。
必ず蒼井紫苑に問題をもたらすはずだった。
蒼井紫苑は今や何不自由ない御令嬢なのだ。
一方、榊原満山のようなクズは、目的を達成するためなら手段を選ばない。
彼女の人生は既に榊原満山によって台無しにされていた。
でも娘はそうはさせない。
心の中では爽快だったが、高城ママはそれでも悲しそうな表情を装った。
高城ママはパトカーで旧市街まで送られた。