208:徐々に浮かび上がる真相、華和が動く_6

しかし、電話の向こうから電源が切れている状態が伝わってきた。

電源が切れている?

榊原詩々は電話の電源を切ることはめったにないはずなのに。

蒼井華和は眉をひそめた。

心の中で突然、不吉な予感が湧き上がった。

そのとき。

一台のパトカーが路肩に現れた。

二人の警官が小走りで近づいてきた。

「蒼井華和さんでしょうか?」

「はい」蒼井華和は軽く頷いた。

二人の警官は警察手帳を見せ、続けて言った。「蒼井さん、実はある殺人事件の被害者とあなたに関連があるようです。署まで同行して調査にご協力いただけますでしょうか?」

「はい」蒼井華和は続けて尋ねた。「誰なのか、お聞きしてもよろしいでしょうか?」

「榊原詩々さんです」警官は答えた。

蒼井華和の顔が一瞬で真っ青になった。

足取りさえも不安定になった。