209：順調に解読、映像を復元（2更）

この言葉が出た途端。

横にいた警官が冷ややかに鼻を鳴らした。

蒼井華和が？

彼女にファイルを復元できるはずがない？

まさか！

警官は蒼井華和に対して非常に悪い印象を持っていた。良心がないと思っていた。

もし蒼井華和に良心があれば、榊原満山のような悪人を庇うことはしないはずだ。

さらに腹立たしいことに、蒼井華和は高城桂子を陥れようとしていた。

あの可哀想な母親を。

高城桂子は長年DVに耐え続け、今は一人娘まで失ってしまった。十分に苦しんでいるというのに、蒼井華和は同情心を持つどころか、彼女の傷口に塩を擦り込もうとしている。

本当にひどすぎる！

「玲姉、彼女を信用しないでください。証拠を破壊しようとしているだけです！」

玲姉は心の中で熟考した後、蒼井華和は若すぎると感じ、彼女の方を向いて言った。「蒼井さん、あなたの気持ちは分かりました。」

スマートウォッチの解読は小さな問題ではない。

今、彼らが持っている一分一秒が貴重だった。

意味のないことに時間を無駄にはできない。

すぐに犯人を法の裁きにかけなければならない。

そう言って、彼女は隣の警官を見た。「行きましょう。」

警官が先に立って歩き出した。

玲姉は彼の後を追った。

二人は一緒に技術部へ向かった。

スマートウォッチの解読作業をしていたスタッフは、玲姉が入ってくるのを見て、すぐに立ち上がって言った。「玲姉。」

「朝倉君、どうですか？」

それを聞いて、朝倉は首を振り、困った表情を浮かべた。「このスマートウォッチは鈍器で叩かれていて、多くの内部部品が損傷しています。さらに、中のチップは暗号化されているので、解読が非常に困難です。強引に解読しようとすると、部品の一部が失われる可能性があります。」

ここで朝倉は一旦言葉を切り、続けて言った。「今は製造元に返送して、向こうで対応してもらうしかありません。」

「他に方法はないの？」玲姉は続けて尋ねた。

朝倉は答えた。「私の方では今のところ他の方法はありません。ただし……」

「ただし何？」玲姉はすぐに尋ねた。

朝倉は答えた。「チップを解読できる達人を見つけられれば別ですが。」

しかし、技術部の人間でさえ手の施しようがないのに、すぐに達人を見つけるのは天に登るより難しいだろう。