すると、ソファーに座っていた高城ママが突然立ち上がり、榊原詩々の方へ歩み寄った。
その後の映像は見えなくなった。
電話時計が榊原詩々の手首に付けられていたからだ。
続いて聞こえてきたのは鈍い衝突音だった。
監視カメラの映像もその衝突音に合わせて左右に揺れていた。
何も見えないものの。
映像から推測できるのは、高城ママが確実に榊原詩々に暴力を振るっていたということだ。
彼女は榊原詩々の髪を掴んで、壁に激しく打ち付けていた。
何度も何度も。
そのとき。
榊原詩々が突然床に倒れた。
そして、監視カメラの映像が突然途切れた。
真っ白な画面になった。
蒼井華和は次の映像をクリックした。
この映像は角度が調整されていた。
今度は、監視カメラが明確に高城ママの顔を捉えていた。
誰も予想していなかった。
榊原詩々を命より大切にすると口にしていた高城桂子が、こんな扱いをするとは。
今や悪魔のような高城桂子は、榊原詩々の胸を激しく踏みつけていた。
表情は歪んでいた。
何度も何度も。
榊原詩々はもう我慢できず、高城ママの足を抱きながら、弱々しい声で言った。「ママ、痛い……」
これが榊原詩々がこの世に残した最後の言葉となった。
残念ながら。
この声は高城ママの良心を呼び覚まさなかった。
彼女の暴力はますます激しくなっていった。
表情もますます歪んでいった。
彼女は身を屈め、榊原詩々の首を強く絞めながら、「この小生意気な!死んでしまえ!」と叫んだ。
その後、まだ気が済まないのか、高城ママは立ち上がって、榊原詩々を何度も踏みつけた。
この間、榊原詩々からは何の反応もなかった。
榊原詩々が床に動かなくなっているのを見て、高城ママは少し慌てた様子で、足で榊原詩々の頭を軽く蹴った。「死んだふりするんじゃないわよ!」
榊原詩々はまだ何の反応も示さなかった。
高城ママは榊原詩々の鼻の下に手をかざしてみた。
息の気配は全くなかった。
高城ママは恐怖で顔色を失い、その場に崩れ落ちた。
彼女は非常に怯えていた。
額には冷や汗が次々と浮かんでいた。
映像はそのまま約10分間続いた。
徐々に、高城ママの恐怖も薄れていき、スーツケースを持ってきて、榊原詩々をその中に詰め込んだ。