しかし今。
彼は高城ママに嫌悪感しか感じなかった。
警察署にも規則があるからこそ、高城ママが榊原詩々にしたように目には目を!と仕返ししたい衝動に駆られた。
だが。
それはできない。
人民警察として、そんな衝動的な行動は取れない。
我慢に我慢を重ねて、ようやく警察署に到着した。
高城ママは取調室に連行された。
警官が直ちに足枷をかけた。
通常、犯人には手錠だけをかけ、足枷までかけるのは重罪を意味する。
高城ママは心の底の恐怖を必死に抑えながら、取調室の机に座った。
玲姉は彼女の向かいに座っていた。
初めて高城ママに会った時、彼女はこの母親に深い同情を覚えた。
長年のDVに苦しみ。
最愛の娘まで失った。
これからの人生を一人でどう生きていけばいいのか?
玲姉は榊原満山が本当の殺人犯ではない可能性を考えていた。
しかし、まさか。
悪魔が、この一見優しそうな母親だったとは。
「お名前は?」玲姉は手続き通り、高城ママの名前を尋ねた。
「高城桂子です。」
玲姉は続けて尋ねた:「話してください。なぜ養女の榊原詩々を殺したのですか。」
その言葉を聞いて、高城ママは心の中で慌てふためき、ほとんどパニック状態になった。
警察はなぜこんな質問をするの?
本当のことを話させようとする罠なの?
冷静にならなければ。
絶対に騙されてはいけない。
高城ママは目を赤くしながら言った:「警察の方、間違っています!本当に間違っています!私は詩々に指一本触れたことがありません。彼女が欲しがるものは何でも与え、自分の命さえ惜しまないほどでした。どうして彼女を殺すことができましょうか?」
「まだ認めないつもりですか?」玲姉は眉をひそめた。
高城ママは声を上げて泣き出した。「詩々!詩々!私の可愛い娘!早くママの証人になってちょうだい!」
その時、玲姉が近づいてきて、高城ママの顎をつかんだ。「詩々の名前を呼ぶ資格があなたにありますか!今更、言い逃れをするつもりですか!じゃあ、これを見てください!」
そう言いながら、玲姉は高城ママの顎を掴んだまま、壁のプロジェクターの方を向かせた。
プロジェクターの中に、高城ママは自分の姿を見た。
これは……
これは榊原詩々が亡くなった日だ。
次の場面を見て、高城ママの顔が真っ青になった。