しかし今。
彼は高城ママに嫌悪感しか感じなかった。
警察署にも規則があるからこそ、高城ママが榊原詩々にしたように目には目を!と仕返ししたい衝動に駆られた。
だが。
それはできない。
人民警察として、そんな衝動的な行動は取れない。
我慢に我慢を重ねて、ようやく警察署に到着した。
高城ママは取調室に連行された。
警官が直ちに足枷をかけた。
通常、犯人には手錠だけをかけ、足枷までかけるのは重罪を意味する。
高城ママは心の底の恐怖を必死に抑えながら、取調室の机に座った。
玲姉は彼女の向かいに座っていた。
初めて高城ママに会った時、彼女はこの母親に深い同情を覚えた。
長年のDVに苦しみ。
最愛の娘まで失った。
これからの人生を一人でどう生きていけばいいのか?
玲姉は榊原満山が本当の殺人犯ではない可能性を考えていた。