蒼井華和は道端で見知らぬお年寄りまで助けるのだから、彼女の人柄に問題はないはずだ。つまり、問題があるのは間違いなく蒼井陽翔の方だ。
そう言って、春野宴真は踵を返した。
数歩歩いてから、春野宴真は再び蒼井陽翔の方を向いて言った。「それと、男なのに陰で悪口を言うなんて、とても君子のすることじゃない。」
蒼井陽翔の顔は赤くなったり青ざめたりした。彼は好意で春野宴真に忠告するつもりだったのに、逆に春野宴真に説教されてしまった。
蒼井紫苑も複雑な心境で、不満げな表情を浮かべていた。
春野宴真が自分に声をかけに来たと思っていたのに、表面的な取り繕いすらしようとせず、真っ向から否定された。
この蒼井華和には一体どんな魅力があるというの!
春野宴真が席に戻ると、春野母が尋ねた。「次男、友達に会えた?」