218：クズをいじめたら、顔が青ざめた_6

蒼井陽翔は冷たい声で言った。「私たちは勘違いしない方がいい。彼女たちは私たちに良い顔をするはずがない。」

蒼井大婆様の心に自分という孫がまだ残っているなら、帰国しても連絡してこないはずがない。

明らかに、蒼井大婆様は蒼井華和に完全に洗脳されていた。

それを聞いて、蒼井紫苑はため息をついた。

蒼井陽翔はハンドルを握る手に少し力を入れた。

待っていろ！

必ず成功を収めて、蒼井家の者たちに後悔させてやる。

しばらくして、車はあるレストランの前に停まった。

二人は車を降りた。

蒼井陽翔は蒼井紫苑を連れて、前後してレストランに入った。

二人は今日、ある有名な監督に会いに来ていた。

プロダクションを設立して数日が経つが、今のところ数人の無名芸能人しか契約できておらず、まだ一つの役も獲得できていない。これに蒼井陽翔は焦りを感じていた。彼は、このまま手をこまねいているわけにはいかず、これまで築いてきた人脈を活用しなければならないと理解していた。

蒼井陽翔は事前に席を予約していた。彼らが到着した時、篠崎監督はまだ来ていなかった。

蒼井陽翔は飲み物を二つ注文し、蒼井紫苑と話をしながら篠崎監督を待った。

春野宴真も母親とこのレストランで食事をしていた。

そのとき、春野宴真は蒼井陽翔に気づいた。

春野宴真は芸能ニュースに全く関心を持たない人物で、当然蒼井陽翔が蒼井家の者たちと決裂したことを知らなかった。春野母の方を向いて、「母さん、知り合いを見かけたから、挨拶してくる」と言った。

それを聞いて、春野母は頷いた。「行ってらっしゃい」

春野宴真は立ち上がって蒼井陽翔の方へ歩いていった。「蒼井さん」

春野宴真を見て、蒼井陽翔はすぐに椅子から立ち上がった。「春野知事」

春野宴真は軽く頷き、蒼井陽翔の向かいの空席を見て、「蒼井さんは彼女とお食事ですか？」

蒼井陽翔は説明した。「妹と来ています。今、トイレに行っています」

それを聞いて、春野宴真は笑いながら言った。「そうですか、蒼井さんもいらっしゃったんですね。ちょうど直接お礼を言いたかったところです」

春野宴真のその様子を見て、蒼井陽翔は目を細めた。この春野宴真は……

まさか蒼井紫苑に惚れたのではないだろうか？