最後に、蒼井紫苑は声を上げて泣き出した。
その時、蒼井陽翔は冷静さを失い、紫苑を振り払って台所に駆け込み、包丁を手に取ると、寝室の方向へ足早に向かった。
彼がいる限り、誰も紫苑をこんな風に虐めることはできない!
誰にも許さない!
そのとき、パンツ一丁の榊原満山が部屋から出てきた。「何を騒いでるんだ?」
包丁を持った蒼井陽翔を見ても、榊原満山は少しも怖がる様子はなかった。「お前が芳乃の兄貴か?俺は実の親父だぞ。筋からいけば、お前も俺のことを父さんと呼ばなきゃならねぇな!」
榊原満山を見つめながら、蒼井陽翔は顔を歪ませて怒りを露わにした。「紫苑を殴ったのか?」
「おや、包丁なんか持って、誰を脅かそうってんだ?」ここで、榊原満山は自分の首を指差して言った。「ほら、やれるもんならここを切ってみろよ!」