219:第一容疑者(2更)

榊原満山は血だまりの中に倒れ、目を大きく見開いたまま、蒼井陽翔を見つめていた。

不気味極まりない。

まるで命を奪いに来た怨霊のように。

その瞬間。

蒼井陽翔の呼吸が荒くなり、背筋が凍り、恐怖が全身を駆け巡った。

「あっ!」

蒼井陽翔は叫び声を上げ、そのまま地面に倒れ込み、荒い息を吐きながら、胸が激しく上下し、恐怖で目を固く閉じた。

蒼井陽翔が以前ただの俳優だったということは置いておいて。

この光景は、生死を見慣れた医者でさえ、おそらく度肝を抜かれるだろう。

幻覚だ。

きっと幻覚に違いない。

蒼井陽翔は必死に冷静さを取り戻そうとし、再び目を開けて息を飲み、もう一度床を見たが、目の前の光景は何も変わっていなかった。

まだ恐怖は残っていたものの、蒼井陽翔はかなり落ち着きを取り戻していた。

榊原満山がまだ目を開いているのを見て、蒼井陽翔は彼がまだ死んでいないのではないかと思い、手を伸ばして榊原満山を揺さぶった。「おい、目を覚ませ。」

血だまりの中に横たわる榊原満山からは何の反応もなかった。

蒼井陽翔は喉を鳴らし、額から冷や汗が一滴床に落ちた。彼は震える右手を伸ばし、榊原満山の鼻の前で確かめた。

そして素早く手を引っ込めた。

死んでいる。

榊原満山は本当に死んでいた。

これは一体どういうことだ?

一瞬にして、蒼井陽翔の心臓は再び制御不能になった。

彼は榊原満山を憎んでいたし、蒼井紫苑がこの厄介者から早く解放されることを願っていたが、今、榊原満山が本当に目の前で死んでいる状況に直面して、蒼井陽翔は極度の恐怖に陥った。

どうすればいい!

今どうすればいいんだ?

極度の恐怖で蒼井陽翔の頭は真っ白になった。

そのとき、蒼井陽翔は通報することを思いついた。

そうだ。

早く警察に通報しなければ。

そう思い至り、蒼井陽翔はすぐに携帯電話を探しに行った。携帯は慌てた際に包丁の近くに落ちていた。幸い電気はまだついていた。

蒼井陽翔は携帯電話を手に取ったが、この時、画面は血で覆われていた。蒼井陽翔はそんなことは気にせず、服で携帯を拭うと、震える手で110番を押した。

しかし、ダイヤル途中で、蒼井陽翔は何かを思い出したかのように、動作を止めた。

今電話をかけたら、もし殺人犯と間違われたらどうしよう?

だめだ。