蒼井紫苑のその言葉を聞いて、蒼井陽翔は呆然となった。
一瞬にして全身から力が抜けた。
顔面蒼白。
目の前にいるのが蒼井紫苑だとは信じられず、さらにそれが蒼井紫苑の言葉だとは到底信じられなかった。
「紫苑、紫苑、何を言っているんだ?」蒼井陽翔は椅子から立ち上がり、激しい感情で言った。「忘れたのか?夜に一緒に食事に行くって言ったのは君で、そして僕の家の下で待っていて、途中で君がバッグを...」
「蒼井陽翔!」早坂警部は眉をひそめ、厳しく叱責した。「静かに!」
蒼井陽翔は仕方なく口を閉ざし、蒼井紫苑をじっと見つめ、目には切望の色が満ちていた。
今聞いたことが全て幻聴であることを願った。彼と蒼井紫苑は幼い頃から実の兄妹以上に親しかった。蒼井紫苑はきっと彼のために証言してくれるはずだ!