「それもそうだね。」
長い間待った。
春奈樱子はようやく姿を現した。
彼女が飛行機に乗り込んだ瞬間、機内のスタッフはすぐにカーテンを下ろし、後部キャビンとエコノミークラスの視界を遮った。
メイラは黒いワンピースを着た人影をほんの一瞬だけ見た。
一瞬の出来事だった。
春奈樱子がどんな顔をしているのかさえ、はっきりと見ることができなかった。
でも、きっと美しいのだろう!
何と言っても本物のお姫様なのだから。
メイラは残念そうな顔をして、隣の蒼井華和を見た。彼女は何事もなかったかのように、最初から最後まで一度も顔を上げて見ることもなく、目の中には本しかないようだった。
「華和、どうして少しも興味ないの?」
蒼井華和はメイラの質問に不思議そうな顔をした。「何に興味を持つの?」