水を飲む?
彼女は今喉が渇いていないのに、なぜ水を飲む必要があるのだろう?
しかし今のウーゴはそれ以上考える余裕もなく、ボトルを受け取って水を飲み始めた。
水は少し冷たく、味はわずかに苦かった。
しかし飲めないほどではなかった。
奇妙なことに、冷たい水なのに、飲み込んだ瞬間、体内に熱が生じた。
熱い?
なぜ熱くなるのだろう?
幻覚だろうか?
ボトルの水を飲み終わると、ウーゴは無意識にボトルを捨てようとした。そのとき、蒼井華和の声が再び聞こえた。「捨てないで、私に渡して」
ウーゴはボトルを蒼井華和に渡した。
蒼井華和は空のボトルをバッグに入れ、「続けましょう」と言った。
ウーゴはうなずき、ロープをつかんで登り続けた。
彼女自身も気づいていなかったかもしれないが、蒼井華和からもらった水を飲んでから、体力が大幅に回復し、体も冷えなくなっていた。