夏川清美は赤ちゃんを抱き上げて慰めました。赤ちゃんは明らかにお腹が空いていたので、彼女は赤ちゃんの小さな手を中に入れて慰め、チュパチュパと音を立てて吸われました。
一時的に泣き止んだので、夏川清美は結城陽祐の方を向いて、「隠れた方がいいんじゃない?」と言いました。
結城陽祐は彼女を冷ややかに一瞥し、ドアを開けて出て行きました。
ちょうどノックしていた藤堂さんは、「二...二少様?」と驚きました。
目の錯覚かと思ったほどでした。
結城陽祐は軽く頷き、何事もなかったかのように自分の部屋へ向かいました。
藤堂さんは二少様の後ろ姿を見て、そして赤ちゃんを抱いている夏川清美を見て、「二少様がどうしてここに?」と尋ねました。
「赤ちゃんを見に来たんでしょう」
「でもこのドアは?」なぜ内側から鍵がかかっていたのか、藤堂さんは不思議に思いました。
夏川清美は困惑した表情を浮かべて、「壊れているんじゃないですか?」と言いました。
「そんなことないはずですが」藤堂さんは鍵で試してみました。赤ちゃんが中にいるので、夜中にノックする音が大きくなりすぎないよう、藤堂さんは鍵を持っていたのです。
「先に赤ちゃんにミルクをあげましょう」夏川清美は促しました。
藤堂さんはそれで我に返り、急いで赤ちゃんの世話を始めました。
赤ちゃんがお腹いっぱいになって寝付くまでに1時間が経ち、藤堂さんはドアが内側から鍵がかかっていたことをすっかり忘れていました。
夏川清美はほっとして、藤堂さんに安心して休むよう言いました。
夜中、彼女は赤ちゃんの授乳のリズムを把握し、さらに2回授乳してようやく安定して眠りました。
朝食は使用人が直接部屋まで運んできました。
夏川清美は食事を済ませて仮眠を取り、目が覚めてから哺乳瓶で赤ちゃんにミルクを与えました。ゴミ箱はすでに片付けられ、部屋には薄いミルクの香りが漂い、昨夜のことはまるで夢のようでした。
そのとき藤堂さんが来て、結城お爺さんが木村久美に会いたがっているので、夏川清美に抱いて下へ連れて行くように言いました。