第49章 二少は清美さんを壁ドンしている?

夏川清美は雲おばさんとの電話を切ると、そっと立ち上がって部屋を出た。

小さな子供を起こさないことを確認してから、不動産コンサルタントに電話をかけた。「村上さん、手続きをできるだけ早く済ませていただけますか。」

「林さん、ご安心ください。このマンションは即入居可能で、全額支払いですので、会社側は遅くとも3日以内に手続きを完了させます。その後は管理事務所でいつでも鍵を受け取れます。」村上顧問は丁重に答えた。

「ありがとうございます、お手数をおかけします。」

夏川清美は安心し、顔を上げると細長い琥珀色の瞳と目が合った。4月の季節に、男は黒いホームウェア一枚だけを着ていて、それが彼の長身をより一層引き立てていた。白い肌に女媧が丹精込めて彫ったような五官は、とても目を楽しませるものだった。

初めてこの男性を見た時の衝撃を思い出し、清美は思わず、この美しさは博物館に飾るべきだと心の中でため息をついた。

「清美さん?」結城陽祐は清美の夢中な眼差しに気を良くし、唇の端に戯れるような笑みを浮かべた。

清美は我に返り、「陽祐さん、何かご用でしょうか?」

「マンションの件で何か問題でも?」明らかに清美の先ほどの電話を聞いていたようだ。

「いいえ、今回は陽祐さんのおかげです。」清美は心から笑顔を見せた。今回、結城陽祐の助けがなくても、彼女の能力でこの件は処理できたはずだが、こんなに迅速にはいかなかっただろう。

「清美さん、気にしないでください。健二が暇だっただけですから。」

ちょうど後ろについてきた健二は、「……」

自分のどこが暇だったというのか?

「では健二さん、ありがとうございます。」清美は素直に結城陽祐の後ろにいる健二に感謝した。

「清美さん、どういたしまして。このお部屋は陽祐さんのアドバイスで選んだものです。」健二は非常に正直に答えた。心の中では、清美さんは林夏美ほど美しくないけれど、白くてぽっちゃりしていて、性格も可愛らしいと思っていた。

清美は美しすぎる男性を一瞥し、健二に向かって言った。「では、陽祐さんによろしくお伝えください。」

清美の前に立っている結城陽祐は、「……」

健二は後頭部を掻きながら、自分は何か間違ったことを言ってしまったのだろうかと考えた。