第57章 お姉様は特別な手段を使った

部屋に戻ると、藤堂さんは既に山田麗のことを知っていた。「どうしたの?」

夏川清美は簡単に説明した。

藤堂さんの表情が少し変わった。「なるほど」

夏川清美は藤堂さんを見た。

「あの月嫂がなぜ書斎の方向によく行くのか不思議だと思っていたけど、正陽様を狙っていたのね。木村久美のことを気にかけないのも当然だわ。いなくなって良かったわ」藤堂さんはつぶやいた後、夏川清美を見て、「あなたと正陽様は...」

「誤解です」

「誤解なら良かったわ。正陽様が本当にあなたに何かしたのかと思って」藤堂さんはほっと息をついた。あの時の夏川清美と結城陽祐の動きは余りにも親密で、正陽様の手が夏川清美の頭の上にあったため、誤解されても仕方がなかった。

夏川清美は一瞬固まった。「むしろ、私が正陽様に何かしたと思うべきではないですか?」少なくとも大多数の人はそう考えているはずだ。