第70章 私は謝らない

夏川清美は黙って車に座っていた。

槙島家は林家から遠くないが、場所は林家ほど恵まれていなかった。

車を降りると、夏川清美は大きめのキャンバスバッグを背負って林富岡の後ろについて行った。

林富岡は200キロを超える娘を見つめた。以前、夏川清美が太った理由を説明した時は少し感動したが、最近の出来事で、その感動はすっかり消え去っていた。

この巨体の娘を見ていると、林富岡はただ目障りに感じるだけだった。

林家は信州市でそれなりの名声があったのに、夏川清美は名家の令嬢になるどころか、林家のより良い地位を得るどころか、笑い者になってしまった。

この娘を連れて歩く時の周りの人々の視線を思うと、林富岡は夏川清美にますます嫌気が差した。

もし槙島家と縁組みができれば、この娘も林家に少しは貢献したことになるだろう。