第71章 小映画を見せてあげる

夏川清美の一言で、リビングの雰囲気が微妙で気まずいものになった。

林富岡は怒りで顔を真っ赤にし、面子が保てなくなった。「自分の過ちなのに、謝罪する面目もないのか。謝れと言ったら謝れ。」

「私は何も悪くありません。なぜ謝らなければならないのですか？」夏川清美は目を上げ、周りの人々を見渡しながら、唇の端に皮肉な笑みを浮かべた。

今度は林富岡が怒る前に、槙島お母さんが先に爆発した。「私の息子をあんな目に遭わせておいて、まだ悪くないだなんて。人を障害者にしてからやっと過ちを認めるつもりなの？あなたみたいな体型でも、うちの秀夫が娶ってくれるなんて、それだけでも幸せなのに。まだそんな毒蛇のような心を持っているなんて、恐ろしいわ。」

そう言うと、槙島お母さんは大げさに一歩後ずさり、手首の金の腕輪がチリンチリンと鳴った。

槙島お父さんも表情は良くなかったが、なんとか表面上の礼儀は保っていた。林富岡の方を見て、「林さん、これはいったいどういうことですか？まさか私たちの秀夫が悪いというのではないでしょうね。」

「もちろん彼が悪いんです。」夏川清美は林富岡が口を開く前に、先に答えた。

今度は槙島お父さんも表情が崩れた。「林さん、よく教育した娘さんですね。うちは林家には及びませんが、信州市では一応の家柄です。こんな風に愚弄されるような家ではありません。」

「夏川清美、黙りなさい。」林富岡は怒りながら夏川清美を叱りつけ、急いで槙島家の両親に謝罪した。

夏川清美はじっと立ったまま、表情の良くない槙島秀夫を横目で見ながら、さらに落ち着き払った様子を見せた。

槙島秀夫は不思議に思った。なぜこのデブ女がこんなに落ち着いているのか。まさか本当に証拠を持っているのか？

「林さん、あなたの面子を立てて、今すぐに私たちの秀夫に謝罪させなさい。さもなければ、この縁談はなしにしましょう。」槙島お母さんは嫌悪感を込めて夏川清美を一瞥した。林夏美がもうすぐ結城家に嫁ぐことになっていなければ、秀夫にこのデブ女を娶わせることなどなかっただろう。

槙島秀夫と夏川清美が結婚したら、槙島家が陰で笑い者にされることを考えただけで、夏川清美のどこもかもが気に入らなかった。

ただ、結城家との姻戚関係は、あまりにも魅力的すぎた。