第90章 熊ちゃんはあなたに似ていると思わない?

コンコン、コンコン!

落ち込んでいた夏川清美は、ヨガを終えた後、外から規則正しいノックの音を聞いた。

結城陽祐はもう長い間包帯を巻きに来ていなかった。彼女は、あの男性が深夜に赤ちゃんの部屋に来たことや、二人の間にあった一瞬の甘い雰囲気をほとんど忘れかけていた。

ヨガマットを片付けて、夏川清美がドアを開けると、カジュアルな部屋着を着たハンサムな男性が立っていた。

「陽祐さん」

「ああ、久美を見に来た」結城陽祐は自然にドアを押して入り、夏川清美の額に浮かぶ薄い汗の粒と、体から漂う甘い香りに気づいた。「運動していたの?」

以前は、夏川清美の体の香りを久美の乳香だと勘違いしていたが、後になって彼女の体の香りは元々あったもので、出産後にさらに明確になり、汗をかくと濃くなることがわかった。