第101章 共謀

横にいた案内してきた看護師は夏川清美に気まずそうな目を向けた。「林さん、大会組織の方で別の患者さんに変更してはいかがでしょうか。今日の手術対象者は全員ボランティアなので、相手の意思を尊重する必要があります」

あのおばさんはもちろんのこと、夏川清美担当の看護師も彼女が医科大学の1年生だと聞いて、かなり不愉快そうだった。

この医療技術コンテストは昇級戦で、参加者は業界のエリートでなくとも、地方病院が重視して選んだ人材ばかりだった。しかし夏川清美は投資家が押し込んできただけの人物だった。

これが映画撮影なら、出資者が誰かを押し込んでくるのは構わない。せいぜい目障りになるだけだ。しかし医療技術コンテストとは何か?それは本物の実力が試されるもので、ちょっとしたミスで命に関わることもある。

「ああ」夏川清美は医師と患者の間には相互の合意が必要だということを当然理解していた。今日は外に多くの記者がいることを考慮すると、強行すれば病院にマイナスの影響を与えかねない。彼女は頷いて言った。「では別の患者に変更します」

夏川清美たちが立ち去ると、ベッドのおばさんはすぐに態度を変え、得意げに夏川清美を一瞥した。先ほど受け取った2万元を思い出し、興奮して携帯電話を握りしめた。ボランティアに応募しただけで、無料で足の治療が受けられるうえに、お金まで稼げるとは思わなかった。

……

別の病室にて。

林夏美は夏川清美が断られたという知らせを聞いて、得意げに笑い声を上げた。「はは、バカね。医科大学にも行ってないくせに、結城家のコネを使って自分を取り繕おうなんて。あのデブ面じゃ無理に決まってるわ」

「だから彼女はバカなんですよ」槙島秀夫は意地悪く笑いながら相槌を打った。

「秀夫兄さんが見つけてきた人がよかったわ。でも、これから……」林夏美はわざと言葉を途中で止め、色っぽく槙島秀夫を見つめた。

鈴木末子の足はほぼ回復し、昨日には婚約の準備を手伝うために退院していた。今、病室には林夏美と槙島秀夫の二人だけ。林夏美の色気のある視線を受け、槙島秀夫は体を前に傾けた。「夏美ちゃん、安心して。もう手配しましたから」