横にいた案内してきた看護師は夏川清美に気まずそうな目を向けた。「林さん、大会組織の方で別の患者さんに変更してはいかがでしょうか。今日の手術対象者は全員ボランティアなので、相手の意思を尊重する必要があります」
あのおばさんはもちろんのこと、夏川清美担当の看護師も彼女が医科大学の1年生だと聞いて、かなり不愉快そうだった。
この医療技術コンテストは昇級戦で、参加者は業界のエリートでなくとも、地方病院が重視して選んだ人材ばかりだった。しかし夏川清美は投資家が押し込んできただけの人物だった。
これが映画撮影なら、出資者が誰かを押し込んでくるのは構わない。せいぜい目障りになるだけだ。しかし医療技術コンテストとは何か?それは本物の実力が試されるもので、ちょっとしたミスで命に関わることもある。