夏川清美は林夏美の病室を出ると、表情がかなり明るくなった。
彼女にもあの患者たちを扱う方法はあったが、病室に入った時からカメラで生中継されていたため、問題が起きやすかった。
槙島秀夫が自分で自分の顔を打つようなものだから、彼女としては願ってもないことだった。
先ほどの槙島秀夫と林夏美が彼女の自撮り写真を見た時の表情を思い出すと、夏川清美の美しい瞳に思わず笑みが浮かんだ。
そのとき、スタッフが慌てて近づいてきた。「すみません、林さんですか?」
「はい、そうです」夏川清美は相手を一瞥した。誠愛病院の看護師で、IDカードを付けており、今回のコンテストの案内係の看護師だった。
「すぐに来てください。加藤院長が巡回中にあなたの状況を知って、すぐに15号室の患者のところへ連れて行くように言われました」看護師は焦っており、額に汗が滲んでいた。明らかに走ってきたようだった。