「よくも!」
健二はそれを聞くと、突然立ち上がってよろめきながら結城陽祐の前に立ちはだかった。しかし次の瞬間、頭が一瞬止まった。注射一本で殺す?
誰を殺す?二少を?
もしかして二少はまだ生きているのか?
その可能性を考えて、健二は思わず首を振った。二少の状態を知らないわけではない。開胸手術を受けたまま何時間もここに放置されていたのだ。生きているのが奇跡だろう。
それに二少の病気は...
加藤迅が連れて行かれた今、誰が二少を救えるというのだ!
「あなたの体内の毒はまだ完全に抜けていないわ。体力も限られているのに、そんな無駄遣いして大丈夫?それに、もう一歩後ろに下がったら結城陽祐を踏んでしまうわよ。手術で死ななかったのに、あなたのお尻で押しつぶされて死んだら、本当に浮かばれないわね」夏川清美は目を白黒させたくなった。