第123章 いとこさんさようなら!

けたたましいサイレンの音が、耳をつんざくように響き渡った。

出口で争っていた二組の男たちは、一瞬驚いて立ち止まった。

金髪が一番早く反応した。「やばい親分、警察が来たぞ、逃げろ!」

リーダーはまだ諦めきれない様子だった。さすがに一億円だ。しかし、サイレンの音が近づいてくる。最後に考え直し、命が大事だと判断して、仲間たちに向かって叫んだ。「撤退!」

そう言うと、大男は鈴木濱との争いを止め、他の三人と共に後退した。

しばらくすると、出口には車椅子を押す夏川清美と健二、そして鈴木濱の二人だけが残った。

四人の暴力団員が金のために動いていたのに対し、彼らの任務は結城財閥の未来の後継者に関わる重要なものだった。数千億円規模の財産が絡んでおり、失敗すれば取り返しのつかない事態となる。