「林さんでいらっしゃいますか?」
「はい、そうです。この二人が患者です」健二のこの鉄の男の変わりやすい感情を夏川清美が理解する前に、中央市民病院の医療スタッフが到着していた。
夏川清美が答えると、担当医は担架の上の二人を見て、これほど重症なのになぜ直接誠愛病院に入院しないのかと不思議に思った。
「誠愛病院では医術大会を開催中で、医師が見つからなくて。急いで救急処置をお願いします」医療スタッフの心中を察したかのように、夏川清美は催促した。
スタッフたちはもう余計な話をせず、結城陽祐と岡田光秀を素早く救急車に運び、二人に酸素を投与した。
夏川清美は健二と一緒に救急車に乗り込んだ。
酸素を投与された結城陽祐の呼吸は明らかに楽になったものの、まだ顔色は死人のように蒼白かった。