第126章 久美ちゃんが消えた

夏川清美は初めて心の痛みを感じた。それは心理的な衝撃が最後には身体的な痛みとなって表れるものだった。

前世では、彼女と両親との縁は浅かった。母親は若気の至りで反抗的で、祖父の頑固さに耐えられず、医学を学ぶことを拒み、若者たちとロックバンドを始めた。祖父は彼女の自己管理のなさを嫌い、怒りのあまり夏目家から追い出した。

反抗的な少女は二度と家に戻ることはなく、二十三歳の時、突然彼女を抱いて帰ってきた。

祖父の話によると、その時の彼女は三キロ程度で、子猫のようだった。生きられないと思われたが、意外にも祖父の誇りとなった。

母親が三日後に家を出て姿を消したことについて、祖父は彼女に母親に関することを一切話さなかった。

夏川清美も自分が母親になることは考えたことがなかった。

少なくとも前世で夏川医師だった時は、この問題を考えることはなかった。

しかし林夏美として生まれ変わり、彼女の最初の身分は母親だった。

朝夕の付き合いを通じて、最初は単純に前の持ち主の子供に対する責任から、今では木村久美が本当に自分の身から切り取られた肉のように感じるようになった。

その肉片が今どこにいるのか分からず、空腹で傷つき、さらには死んでしまうかもしれないと考えると、夏川清美の心はサタンに掴まれたかのように、呼吸も困難なほど痛んだ。

彼女は日頃の足跡を追って、庭の最も奥にある古い屋敷へと向かった。

一歩進むごとに、人魚が陸上を歩くかのように、一歩ごとに体が切り裂かれるような感覚だった。

痛みと果てしない不安を感じながらも、足を遅くすることはできなかった。

誰もいない、どこにも誰もいなかった。

古い屋敷全体が空き城のようで、普段の掃除人も見当たらず、庭師も見えず、執事も見つからなかった。

夏川清美はもう我慢できず、小走りで階段を上り、赤ちゃんの部屋のドアを開けた。

はぁ!

何もなかった。

すでにこの結果を予想していたにもかかわらず、夏川清美は耐えられなかった。研究室で結城陽祐を見つけた時の、彼が血だまりの中に横たわっていた姿や、ベッドの上で失血過多になっていた少女の姿が頭から離れなかった。

このように計算高く冷酷な結城家の三叔父が、木村久美を見逃すだろうか?