夏川清美は止まらなかった。
カーテンを切り取り、病室を見回してから、ついでにテーブルを斜めに押しやった。
それでも足りず、男の崩壊寸前の美しい顔を見て、夏川清美は突然前に出て、ナイフで結城陽祐のズボンの裾を刺した。
結城陽祐は呼吸が乱れ、胸が上下し、痛みで額に薄い汗が浮かんでいた。
夏川清美はまるで気づかないかのように、ナイフを一振りし、結城陽祐のズボンの裾を半分切り裂いた。
男は我慢の限界に達し、「林夏美!」
この三文字を吐き出しただけで、結城陽祐はさらに胸が痛くなった。
夏川清美は結城陽祐に優しい笑顔を向け、黒く輝く桃の花のような瞳には無害な表情を浮かべながら、一言一句はっきりと言った。「条件を変えましょう。二少様が入院している間、この病室のものは一切動かさない、部屋の変更もしない。それでいいですか?」