「まさか!」
夏川清美は即座に自分の考えを否定した。
でも、結城陽祐が林明里に心を動かされたわけではないとしたら、まさか本当に木村久美に母親が必要だからなのか?
あるいは、もっと深い理由があるのか?
夏川清美には理解できなかったし、深く考えようともしなかった。結城お爺さんの話を聞いた後、語調を変えて「結城お爺さん、明日の朝、陽祐さんに会いに行ってもいいですか?」
「もちろんだよ、朝に運転手に送らせよう」結城お爺さんは深く考えず、夏川清美が陽祐さんの胸部縫合をしたのだから、様子を見に行くのは当然だと思った。
肯定的な返事を得て、夏川清美は感謝を述べた後、育児室に戻った。
今日、木村久美は驚かされることはなかったものの、一日中揺られ、泣いたり騒いだりして、特に人懐っこかった。夏川清美と藤堂さんは夜中交代で見守り続け、午前5時を過ぎてようやく小さな子が深い眠りについた。