「藤、藤原先生?」槙島秀夫は少し不確かに尋ねた。
「はい、藤原悠真です」藤原悠真の波風のない低い声には、生まれつきのかすれた声が混ざっており、磁性的で魅力的でありながら、厳格で冷淡な雰囲気を持ち、人々を寄せ付けない。
このギャップが、彼をより魅力的にしていた。
槙島秀夫は本当に藤原悠真だとは思わなかった。「藤原先生、こんにちは。私の婚約パーティーにお越しいただき、大変光栄です!」
夏川清美を叱責していた林富岡も振り向いた。彼は藤原悠真のことを聞いたことがあった。若くして既に京都で名を馳せた弁護士で、正直な人柄だが、仕事は強硬で容赦なく、今まで一度も敗訴したことがなく、京都の権力者たちから高く評価されていた。まさか槙島秀夫の婚約パーティーに現れるとは思わなかった。