第173話 旦那様、弟を助けて!

冷たい表情の男がついに動いた。

藤原悠真は雲さんを乱暴に引きずっている鈴木政博に向かって歩いていった。「鈴木さん、私は雲さんの委任弁護士です。二週間前、私のクライアントは裁判所に訴訟を提起し、あなたを故意の傷害及び不法監禁で告訴しました。裁判所は既に受理しています。ご協力をお願いします」

雲おばさんの髪を掴んでいた鈴木政博の手が緩み、呆然としていた。自分が訴えられた?

鈴木政博だけでなく、林富岡も鈴木末子も、その場で呆然と立ち尽くしていた。

雲さんは椅子に崩れ落ち、目尻には涙の跡が残っていた。長年の辛い思いが遂に爆発したのだ。

藤原悠真は皆を冷ややかに一瞥し、無表情で道を開けると、二人の検察官が前に出て鈴木政博を拘束した。「裁判所の調査により、証拠は明白です。ご協力をお願いします」