第186章 誰が林夏美と婚約すると言った?

「林夏美、なぜあなたなの?お姉さんはどこ?」鈴木末子は震える指で林夏美を指さし、衆人環視の中で問いかけた。

今日ここにいる人々は皆、名の知れた人物ばかり。結城陽祐が彼女に、林家に説明をしないはずがない!

野村黒澤は反射的に結城陽祐を見て、メディアに生中継を止めさせようとしたが、結城陽祐は手を振って、その必要はないと示した。

普段から二少をよく理解していると自負していた野村黒澤は、困惑して野村越を見つめた。野村越は首を振り、「君にも分からないなら、僕に分かるわけがない」と言わんばかりだった。

仕方なく、野村黒澤は剪定バサミを持つ健二を見た。

健二は剪定バサミを握りしめ、周囲と鈴木末子の方向を警戒していた。まるで相手が二少や清美さんに危害を加えようとすれば、すぐに飛び出せるような構えだった。