林夏美は顔色が青ざめ、結城陽祐に手を伸ばそうとした動きが途中で止まった。「正陽様...」
彼女は会場にいる全ての人々の表情と、スクリーンの向こう側にいるネットユーザーたちの反応を想像することができた。
長い間動けなかった。
以前、結城陽祐が婚約式を生配信すると知った時の狂喜が、今は絶望に変わっていた。
目の前の男性を呆然と見つめ、この盛大な婚約式を見つめた。本来これらは全て自分のものだったはずなのに、どうして...
鈴木末子は我を失った娘を見つめ、カメラに目をやりながら、密かに手のひらを握りしめた。「正陽様、どうしてうちの夏美ちゃんをこんな目に遭わせるのですか?」
彼女はこんな展開になるとは思っていなかった。結城陽祐の態度の豹変ぶりに、彼女たちは対応できなかった。
確かに以前、両家で婚約の詳細や結婚の話をしていた時、正陽様は協力的だった。たとえ夏川清美が真実を話したとしても、正陽様がぽっちゃり女を娶るはずがない。