第206話 医者は私が足の不自由な人になると言った

結城陽祐と同じように苛立っていたのは、弁護士からの警告状を受け取った多くのネットユーザーたちだった。

結城陽祐の雷のような手段は、すべてのネットユーザーに妻を守る決意を見せつけ、もはや誰も夏川清美の悪口を言う勇気はなくなった。

しかし、警告状を受け取った人々は元々最も不満が大きく、気性が荒かった。そうでなければ、状況も分からないまま夏川清美に対して言葉による攻撃を仕掛けることもなかっただろう。

今や被告となる立場に追い込まれ、怒りは増すばかりだが、結城財閥と対抗する勇気もなく、自然と他の人々へと矛先を向けることになった。

そして山田麗、槙島秀夫、林夏美が格好の的となった。

特に林夏美は、以前持ち上げられていた分、今は落ちぶれ方も激しかった。

山田麗が山田美衣にライブ配信させた時、人々はまだ林夏美が第三者だという件について疑問を持っていた。しかし林夏美の確認の一言で、人々は山田麗が被害者だと確信するようになった。

林夏美は恋人たちを引き裂く悪質なデブだと決めつけられた。

今や山田麗は警察に連行され、ファンの事件の原因を調査中で、槙島秀夫は渣男論が出てきた後、散々な非難を浴びている。

唯一林夏美は、カメラの前で白いウェディングドレス姿で登場し、夏川清美との対比で一層仙女のように見え、この世のものとは思えないほど美しかった。さらに友人のために命を懸けて、公平無私な態度を示したため、確認の件で面目を失っても、なおネットユーザーから愛され、善良で純粋で騙されやすい性格に同情されていた。

その後、結城財閥の次男との婚約が発表され、美しく善良なイメージが強化されただけでなく、間接的に彼女の優秀さも証明され、ネットユーザーは遠く及ばないと感じていた。

人間の心理は不思議なもので、自分より劣る者には軽蔑を示し、少し上回る者には侮蔑的な態度を取り、手の届かない存在は神の座に祭り上げる。

しかし、往々にしてそういった人々こそが、神の座から引きずり降ろすのだ。

結婚式での林夏美の失態と、結城陽祐に打ち負かされた二つのSNS投稿のスクリーンショットは至る所で拡散され、以前は「夏美ちゃん」と呼んでいた人々も、今では「林のクズ」と呼ぶようになった。

バン!