第210章 二少は君に優しいの?

夏川清美は前世では二十七歳まで生きても実の母の顔を知らなかったが、今世では林夏美として母親が美人だったことを知っている。

しかし、美人薄命とはこのことだ。

むしろ目の前の、一見弱々しくも芯の強いこの女性が初めて母親らしさを感じさせてくれた。その痩せた体を抱きしめると、心が柔らかくなった。

しばらくして夏川清美は雲さんを離し、「ゆっくり休んでください。明後日の裁判、私も一緒に行きます」と言った。

「藤原先生がいるから、私一人で大丈夫よ。あなたは結城家で子供の面倒を見てあげて」子供の話題が出て、雲さんは自責の念に駆られた。彼女は夏美と結城陽祐の婚約後に初めて、林夏美が言っていたその子が実は清美のものだと知ったのだ。

彼女は清美が大学受験後、京都医科大学に進学し、林家と鈴木の母娘から逃れられたと思っていた。しかし、知らないところで清美がそんなに大きな苦労を背負っていたとは。