第215章 彼女の言うことは本当なのか?

夏川清美は出てきて木村久美を藤堂さんに渡し、健二の方を見て、「何かあったの?」と尋ねた。

「よく分からないんです」健二は頭を掻きながら、少し心虚そうに答えた。

夏川清美は健二を横目で見て、「ふーん」と言った。

健二は「……」

黙って横に退いて、夏川清美に道を譲った。研究室で清美さんが注射一本で彼を気絶させたことを、まだよく覚えていたからだ。

夏川清美は結城陽祐が何のために自分を呼んだのか分からなかったが、あの日病室であまりにも慌ただしく親密な雰囲気だったため、結城陽祐に聞きたいことがたくさんあった。相手が自分を呼んでいるなら、ちょうどいい機会だと思った。

木村久美を少し落ち着かせてから、夏川清美は健二について病院へ向かった。

意外にも林夏美もいた。

夏川清美は横を向いて健二を見た。健二の硬い表情が赤くなっていた。