第227章 正陽様の義兄!

「夏美ちゃん、お父さんは君が悲しんでいることはわかるよ。でも今や真相が明らかになった。結城湊は夏川清美の息子なんだ。君も前を向いて、秀夫こそが君の幸せだと信じるべきだよ」槙島お父さんが話に割り込んできた。

林明里は携帯を握りしめ、そこに映る自分の裸写真を見ながら、すぐにでも飛びかかって槙島秀夫のその偽善者の顔を引っ掻き回してやりたかったが、できなかった。

今や結城家の未来の若奥様という後ろ盾を失い、林家は問題山積み。その上、夏川清美というあの小娘は病院に行く道さえ塞いでいる。今、槙島家の怒りを買えば、損をするのは自分だけだった。

他のことは置いておいても、槙島家が母娘に金を要求すれば、払えるはずもなかった。

でも槙島秀夫と結婚なんて、どうしてできるだろうか?

以前は槙島家なんて眼中になかった。今は結城陽祐との婚約が破談になったとはいえ、希望がないわけではない。今日だって、もし自分の答え方が良ければ、正陽様の気持ちが変わったかもしれないのに。