林夏美はまだ槙島家への対処法を見つけていない時に、鈴木政博の裁判の日が来た。
この数日間、母娘二人は鈴木政博がいないことで、物事を進めるのが非常に面倒になったと感じていた。
特に林家の状況において。
以前は鈴木政博がいたので、林家に何か動きがあれば、母娘はどこにいても真っ先に情報を得ることができた。
そのため、鈴木末子の懇願により、林富岡は鈴木政博のために信州市の優秀な弁護士を雇った。
家族三人で裁判所に来た。
佐藤清美は雲さんに付き添って、もちろんそこにいた。
ボディーガードに囲まれて三人が遠くから入ってくるのを見て、軽く一瞥し、雲さんの手を握って、「怖がらないで」と言った。
雲さんは頷いて、「怖くないわ」と答えた。
彼女は林家でこれほどの苦労を味わってきたが、今は清美が全国一の弁護士を雇ってくれたので、年寄りの彼女には怖いものなどなかった。