第237章 清美は私の婚約者

「ゴホッゴホッゴホッ……」

自分が何を考えているのか気づいた夏川清美は、思わず自分の唾で咽てしまった。

やめろ!

夏川清美は自分に命じた。

なぜなら、一度この設定を受け入れ始めると、もう結城陽祐の顔をまともに見られなくなることに気づいたからだ。

そして、この二人が実に相性がいいと思えてしまう。

病床に横たわっている結城陽祐は、突然夏川清美の奇妙な視線を感じ、自分の傍らにいる大型犬のような健二を見て、「芝生は刈り終わったか?」

健二は体をピンと張り、持っていた水をこぼしそうになりながら、おずおずと結城陽祐を見つめ、「二少様、芝生を刈らなくてもいいですか?」

「だめだ」結城陽祐の一言で健二の心は折れ、水も置かずに大きなハサミを持って病室を出て、芝生刈りを続けに行った。