夏川清美は首を傾げ、結城陽祐の突然の紹介が意味不明だと感じた。
でも、窮地を救ってくれたのはよかった。
加藤迅も驚き、二人を不思議そうに見つめた。
彼はここ最近ずっと海外に拘束されており、学術会議には参加できたものの、監視下に置かれ帰国を許されなかった。自分の人脈を使ってようやく解放されたのだった。
慌ただしく帰国したため、結城陽祐の婚約パーティーで花嫁が変更されたことを知らなかった。
夏川清美は加藤迅の意外そうな視線に気づき、気まずい表情を浮かべた。
まさか自分が別の男性の隣に立ち、その相手が加藤迅に「佐藤清美は私の婚約者です」と紹介するような日が来るとは思ってもみなかった。
心の中は複雑な思いで一杯だったが、表面上は上品な笑顔を保っていた。
たとえ彼女のような体型では、加藤迅の目には上品に映らないだろうが。