第258章 出て行け、出て行け、みんな出て行け!

成瀬美里は自分の後ろに記者がついてくるとは思っていなかった。

しかし、ベッドの上で絡み合い、顔を隠し合って布団の取り合いをしている男女を目にした瞬間、怒りが理性を支配した。

駆け寄って二人の布団を引っ張った。

彼女は三十七歳で、一度の失敗した婚約のせいで恋愛に絶望していたが、ようやく出会えた山田陽向は、彼女より十二歳年下ながら、優しく気遣い、何事も彼女のことを考えてくれ、彼女への愛を証明するために、去年キャリアが絶好調の時、華映エンタテインメント授賞式で堂々と手を繋いで交際を公表してくれた。

多くの友人が若い男性に惑わされないようにと忠告し、世間も二人の関係を良く思っていなかったが、彼女は山田陽向の真心を疑ったことは一度もなく、全力で彼を支えてきた。

そして山田陽向も成功を収め、この二年間でヒット映画により人気を得ると同時に、業界からも認められ、人気は上昇の一途を辿り、二人で過ごす時間は少なくなっていった。成瀬美里の不安は増していったが、それでも相手の愛情を信じ続けていた。