第256章 クソくらえ!「悪い男が女にモテる」なんて!

林夏美は山田麗に気付いていなかった。

彼女は心の中の怒りを抑え、優雅で落ち着いた様子を装おうと必死だった。

今日、母の言葉は彼女に安心感を与え、心が随分と落ち着いたが、槙島秀夫との婚約を公表することは、まだできそうにない。

林夏美は誰よりもよく分かっていた。今、彼女と槙島秀夫の婚約が発表されたら、それはどういう意味を持つのか。

ネットユーザーの反応や、彼女への非難を想像することができた。

以前、彼女は自ら林夏美が槙島秀夫に結婚を迫り、槙島秀夫と山田麗の破局を強要したと非難していた。

そして、彼女は自分と正陽様との婚約の噂を広めた。

しかし婚約式で、正陽様は全ネットユーザーの目の前で夏川清美の手を取りレッドカーペットを歩き、彼女は勘違いした笑い者となった。

槙島秀夫は?クズ男のレッテルを貼られ、山田麗との短い動画は今でもサークル内で広く出回っている。