結城邸。
食事の後、老人は部屋着姿でだらしなく座っている孫を見て、「お前の病気のことが暴露された件は一体どういうことだ?」と尋ねた。
「そういうことですよ」結城陽祐は無関心な表情を浮かべた。
「お前がやったのか?」老人は彼のごまかしに乗るはずもなく、怒って尋ねた。
結城陽祐は眉を上げ、「おじいさん、よく情報通ですね」。
「ふん、私に隠し事をするとは、本当に羽が生えたようだな。一体何を考えているんだ?あの5パーセントはもう要らないのか?他の小株主を買収するつもりか?」老人は言い終わると、杖を叩いた。
「備えあれば憂いなしですよ」林家の5パーセントの株式について、結城陽祐はずっと疑問に思っていた。調べた資料では株式は林富岡の手中にあるはずだが、この間の接触で分かったのは、林富岡は株式の存在を誰にも漏らしたことがなく、会社が困難に直面しても動かさなかった。とても不思議だった。
一方、なつき信託の方は口が固く、背後の勢力も大きい。手を出せないわけではないが、面倒なことになる。
彼の行動原則は常に、最小の投資で最大の利益を得ることだった。
もちろん、林夏美は例外だった。
面倒なだけでなく、利益も見込めない。
結城陽祐は、おじいさんと話をしているのに、なぜまたあのぽっちゃりくんのことを考えているのか分からなかった。
老人は彼の言葉を聞いて、孫を深く見つめ、「また何か悪だくみをしているんじゃないのか?」
「おじいさん、私がそんな人間に見えますか?」結城陽祐の端正な顔には、無邪気な表情が満ちていた。
老人は鼻で笑い、彼を信じるはずがなかった。「林富岡といつ話し合うつもりだ?お前の二人の叔父さんたちが林家を狙っているようだが、この件は早めに解決した方がいいな」。
「はい」結城陽祐は軽く返事をした。あの二家の動きは当然把握していた。
槙島家をもっと刺激する必要がありそうだ。
槙島秀夫と林夏美の縁談が成立すれば、林富岡がどんなに鈍感でも、ぽっちゃりくんに肩入れするはずだ。
そう考えながら、結城陽祐の琥珀色の細長い瞳に浅い意味深な笑みが浮かび、傍らで扇子を使っていた健二は身震いし、心の中でため息をついた。誰かがまた不運な目に遭うのだろうと。
……
桜花亭。