藤堂さんは体がふるえて、ふるい分けるようだった。
先ほど文句を言ったものの、この若様の手腕を知っていたため、一瞬で額に薄い汗が浮かぶほど怖くなった。
夏川清美は結城陽祐を非難するような目で見た。
結城陽祐は冷たく藤堂さんを睨みつけ、「今後は言葉に気をつけなさい」と言った。
「はい、はい、はい」藤堂さんは震える体で答えた。
「先に出なさい」結城陽祐は手を振り、藤堂さんが出て行くと、夏川清美の桃のような瞳を見つめて「私のことを嫌っているのか?」と尋ねた。
「まさか」夏川清美は笑って答えた。他の人は結城陽祐の体のことを知らないが、夏川清美は知っているのだから。
結城陽祐は眉を上げた。このぽっちゃりくんが怖がらないとは珍しい。
「林家と槙島家が婚約を発表したよ」結城陽祐はある問題にこだわることなく、淡々と夏川清美に告げた。しかし、その目は彼女の反応を注意深く観察していた。