第278章 結城夫人に良い性格は必要ない

「そうなんです。正陽様が私の足が0.5cm太くなったって言ったんです」健二は悲しそうな表情を浮かべながらも、少し得意げな様子で、ほら、うちの正陽様が自分のことをこんなに気にかけてくれているんだと言わんばかりだった。

夏川清美は健二の逞しい長い脚を見た。痩せているとは言えないものの、日頃の運動で筋肉が盛り上がり、力強さに満ちていた。完璧とは言えないが、決して太いとは言えないはずなのに、あの男は健二が太いと言う。では、自分は？

以前、夏川清美は結城陽祐が自分を嫌っているから減量計画を立てたとは思っていなかったが、この瞬間、突然あの男の意図を疑い始めた。

彼は自分のことを我慢できないのだろうか？

手元の細かく厳密な減量計画を見つめ直すと、夏川清美の気分は急に悪くなった。

健二は清美さんが自分の質問の後なぜこんなに表情が悪くなったのか分からず、聞くのも気が引けて、こっそりと結城陽祐に報告に行った。

夏川清美が気持ちを整理して階下に降りると、林富岡が結城家の居間で愛想よく結城陽祐と何かを話しているのが目に入った。彼女を見つけると急いで声をかけた。「清美や、早く来なさい！」

林夏美の体に転生して三ヶ月余り、夏川清美はこれが初めて林富岡からこんなに親切で熱心な態度を向けられ、思わず眉をひそめた。

無償の親切はなく、悪意か欲望のどちらかだ。

特に夏川清美は林富岡に対して良い印象を持っていなかった。

林富岡は娘の冷淡な反応を見て、気まずそうに笑い、「正陽様、この娘は少し気が強くて。今後ともよろしくお願いいたします」

「ああ、彼女が気が強いですか？構いません。結城夫人に気の優しさは必要ありません」結城陽祐は当然のように言った。

夏川清美と林富岡は共に驚いた。

ただし林富岡が驚いたのは夏川清美の正陽様の心の中での位置づけであり、夏川清美は男を横目で見ながら、この男はまた何を企んでいるのかと考えていた。

もし先ほど健二から、この男が人の体型に対する厳しさが男女問わずだと知らなければ、彼女はきっとこの庇護的な態度に感動していただろう。

残念ながら...彼女はすでにこのイケメンが腹黒い演技派だということを知っていた。

「正陽様は清美のことを本当によくしてくださいますね」我に返った林富岡は気まずそうに言った。