第285章 健二は優秀な人材

夏川清美の話を聞いて、健二はゆっくりと答えた。「陽祐さまは検査結果をずっとお待ちでした」

「ぷっ、健二、あなたって天才だって言われたことある？」夏川清美は思わず吹き出して笑った。

健二は照れくさそうに頭を掻きながら、「陽祐さまにもそう褒められたことがあります」

「あはははは……」

夏川清美はもう我慢できず、体裁も構わずに大声で笑い出した。

二人が結城邸に戻ると、結城陽祐は既に病院から夏川清美の健康診断の資料を入手しており、夏川清美が持っているものよりも詳細だった。眉をひそめながら見ていて、健二が戻ってくるのを見て、「うまくいったか？」

健二は状況を詳しく報告した。

結城陽祐は頷き、表情は深刻だった。「ぽっちゃりくんが妊娠していたこの一年間に何があったのか、もう一度詳しく調べてくれ」

健二は親切に注意を促した。「前回も調べましたが」

「細部まで調べろ」結城陽祐は重々しく言った。

林夏美の健康診断の結果はひどすぎた。十八歳の娘の体がこんなにも悪い状態であるはずがない。しかも栄養失調以外の問題は全て短期間で引き起こされたもので、報告書を見る限り、妊娠していた一年間のことだった。

そして……

結城陽祐は夏川清美の腹部に残る醜い傷跡の写真に目を落とした。ミアン産婦人科病院は無名とはいえ、技術がここまでひどいはずがない。この帝王切開の縫合は一体何なのか？

彼は突然、ぽっちゃりくんがあの一年間で何を経験したのか知りたくなった。

健二が出て行った後も、結城陽祐はその写真を見つめ続けた。

以前の調査で、夏川清美は妊娠していた一年間、鈴木の母娘に郊外の村の劣悪な環境に監禁され、生活は不便で、外部との連絡も許されず、出産時も看護する人がおらず、途中で意識を失って命の危険があったと分かっていた。

ぽっちゃりくんが妊娠・出産時に多くの苦労をしたことは既に知っていたが、どんなに多くの資料を見ても、目の前のこの写真が与える衝撃には及ばなかった。

一体どんな状況で、医者がこんな傷跡を残すような縫合をしたのか。歪んで恐ろしく、技術など皆無だ。彼は、これはぽっちゃりくんが自分で縫ったのではないかとさえ疑った。

深く息を吸い込み、写真をきつく握りしめた。初めて潔癖症による不快感ではなく、心が痛んだ。